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鳥取大学医学部 地域医療学講座
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第3回 教室カンファ 2011/4/20 「埼玉県で経験した地域医療」

「埼玉県で経験した地域医療」 渡邉ありさ先生より

埼玉県の二次医療圏(勤務地は秩父地域であった)
埼玉県の二次医療圏(勤務地は秩父地域であった)
今回のカンファでは埼玉県出身で自治医科大学卒の渡邉ありさ先生が、卒後に経験された埼玉県での医療について報告してくれました。埼玉といえば東京23区の北に位置し、へき地などないと思っていましたが、人口720万のほとんどがさいたま市を中心とした南部に暮らしており、特に西部で山梨県に接する秩父地域は人口少なく(12万人)医療機関も少なく、たいへんな状況であるとのこと。卒後勤務していた町立病院も勤務医が高齢化し内科的なことはすべて赴任した自治医大の医師が支えねばならない状況で、しかも、このエリアに3次救急病院がないため、重症の場合、南部エリアか北部エリアまで救急車で搬送しないといけないが、搬送に40-60分もかかるため、医師はたいへんなストレスを感じつつ働かないといけない。火傷患者の症例提示があったが、重度熱傷で搬送が必要なケースだったが3次救急の受け入れ先がみつからず、結局、遠隔の防衛医大までドクターヘリで搬送、受傷から治療開始まで4時間近くかかったとのこと。この話を聞いて、埼玉県で医療過疎がある、というよりは、首都圏に近い地域の人口稀少区は、ある意味で、もっともシビアな地域医療崩壊が起こっているのではないかと考えさせられた。彼女は、その後、ご主人の出身である鳥取県に移動し岩美病院、智頭病院など自治体病院での勤務を経験したが、急患が岩美病院から鳥取県立中央病院まで20分で到着したことに感動したとのこと。また、鳥取県は、二次医療圏が東中西部と東西にそって3分割され、それぞれに中核病院が存在し、エリアと医療圏の構成バランスがとれていると感じたということです。そして、もっとも印象的なのは、医師に対する行政の姿勢の違いに驚いたようです。埼玉県、秩父市などの対応は、「医療過疎に自治医大がいくのが当然で、勤務環境がどんなに劣悪でも、どうせ次の赴任者がいるから問題ない」という投げやりな態度に、彼女はやりきれなさを感じたとのことです。いっぽう、鳥取県では行政が医師を大事にしてくれるので、同じ日本でもこんなに違うものか、と驚いたようです。埼玉県の人口は鳥取県の12倍以上ですが、医療過疎地の惨状は本当にひどいものです。どうすれば住民や行政の姿勢を変えられるのか?といった話題も出ましたが、結局、住民自身が危機感をもって医療の現状を考えることからしか変わらないのかな、と感じました。「どうせ自治医大医師が毎年くるから彼らにしんどい仕事をやってもらえばいいのだ」という発想自体が「自治医大依存症」につながり、改革をはばんでいるように思いました。
<埼玉県の問題点>
人口の多さ、人口の偏在
相対的な医師数の少なさ
地域医療に対する行政・大学の無理解「埼玉には僻地なんてないしね」
二次救急・三次救急の連携の悪さ
医療圏の整備の遅れ
自治体病院の自治医大依存、自力で医師確保のために動こうとしない
代診医確保が困難で常勤医の負担が大きい
産休・育休を取りにくい(埼玉の自治医大卒女性医師で、へき地派遣中の育休取得者は皆無)
<鳥取県へ来て感じたこと>
自治体が医師を必要とし、大切にしてくれる
病院からの勧誘「ここで働いてみないか?」
自治医大卒業生と自治体病院、行政の連携(派遣会議) 
   何人の派遣がほしい、その理由→必要医師数の計算、派遣人数を毎年見直す。
地域連携の充実。紹介、搬送がしやすい
医療圏がコンパクトにまとまっている
新しい試み(地域枠、ドクターバンク、女性医師支援など)

                                                  文責 谷口
埼玉県と鳥取県の比較
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