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第8回教室カンファ 2011/6/15 「胃瘻(いろう)の功罪」

教室カンファレンス(2011/6/15) 「胃瘻(いろう)の功罪」渡邉ありさ

胃ろうの設置
胃ろうの設置
今回のカンファでは、渡邉ありさ先生が「胃ろう」の問題について紹介してくれました。「胃ろう」の本来の目的は、誤嚥を防ぎ栄養補給をしっかりおこなうことです。私自身は出張先の病院で「胃ろう」設置された患者さんが誤嚥性肺炎をおこさず管理が楽になる側面と、誤嚥しつつも口から食べていた時期と違い、徐々に表情がなくなりしゃべることも少なくなるという印象を持っていました。
渡邉先生からは、「胃ろう」が魔法の治療ではないこと(長期生命予後は改善できない、唾液による誤嚥はおこりやすい)などの指摘がありました。もっとも問題だと感じたのは、かかりつけ医として日頃から診ていた患者が、脳梗塞や肺炎などで急性期病院に送ったら、かかりつけ医には何の相談もなく「胃ろう」造設後に返されてくるケースがあることです。急性期病院サイドとしては、なるべく入院期間を短縮し後方支援施設に送り返さないといけない事情があります。誤嚥リスクが高ければすぐに「胃ろう」導入を家族に説明し転院準備をせざるえない面もあります。家族も「胃ろうは栄養補給のため必要です」と医師に説得されると「お願いします」としか言いようがない。しかし、いったん「胃ろう」造設されれば、離脱しづらく在宅管理も難しくなります。なにより問題なのは、「胃ろう」導入が介護施設入所の関門になっていることです(「胃ろう」でないと受けられません)。急性期病院サイドも家族も介護施設もすべて「胃ろう」造設のほうが好都合な構造ができあがっている。在宅で介護している家族やかかりつけ医は、本人をよく知っているので、「胃ろう」造設が将来どんな意味をもつのか理解できる。でも、日頃から患者に接していない家族や病院勤務医は、「胃ろう」造設して施設入所させればそれで仕事はおしまい。いったいどちらが患者にとって「幸せ」なのでしょうか?「胃ろう」造設が良いとか悪いという議論でなく、「どのような最期を迎えたいのか?」という話を、家族含めてしっかり準備しておかないと、たいへん不幸な経緯をたどる可能性があるのです。
渡邉ありさ先生の「患者の人生の中で、急性期病院への入院期間は短いが、その後の生活への影響は大きいことを考えてほしい。かかりつけ医に相談を。」という言葉はとても重いものです。簡単に結論がでる問題ではありませんが、「胃ろう」にまつわるさまざまな課題を、病院で働く勤務医、かかりつけ医、施設介護職員、家族を含めて議論していくことが重要ではないかと感じました。
文責 谷口
胃ろうは魔法の治療?
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「とにかく胃ろう造設」はやめよう!
「とにかく胃ろう造設」はやめよう!
何のための「胃ろう」なのか考えよう!
何のための「胃ろう」なのか考えよう!