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第14回教室カンファ「胃潰瘍について」 (2011/8/3)

出血性胃潰瘍の写真
出血性胃潰瘍の写真
今回は渡邉ありさ先生が胃潰瘍の最新の診断治療について報告してくれました。胃潰瘍は胃粘膜下まで潰瘍がすすんだ病態で、以前はバランスセオリーといって攻撃因子と防御因子のバランスがくずれて発生するという理解でした。これ自体は正しいのですが、ヘリコバクターピロリ菌の発見は、胃潰瘍の治療に革命をもたらしました。反復する胃潰瘍をみた場合、多くのケースでピロリ菌感染が合併しており、抗生物質を用いたピロリの除菌療法によって根治可能なのです。これは胃潰瘍の原因が、体質的なバランスでなく寄生細菌による感染症であることを証明した点で驚くべきことでした。さらに、ピロリ感染は慢性萎縮性胃炎の発生を通じて胃癌・過形成ポリープの発生率を増加させることがわかり、ピロリ除菌はある意味で発癌抑制にもつながることがわかったのです。実際には5歳までの小児期感染し、昭和30年代以前の生まれの日本人のピロリ感染率は80%といわれており、推定感染者は6千万人です。ただ、感染者の中で潰瘍発生は2-3%、胃癌発生は0.4%であり95%以上は発症しないようです。「ピロリ菌の診断・治療ガイドライン」が日本ヘリコバクター学会から提案されています。感染の診断方法には、血清での抗ピロリ抗体、胃生検による菌体の証明、ウレアーゼによる尿素産生を利用した尿素呼気試験などがあります。抗生物質(ランサップ:ラソソプラゾール+アモキシシリン+クラリスロマイシン)を使えば、80-90%は除菌可能で、一次除菌に失敗しても二次除菌の薬剤(ランピオン)も準備されています。除菌成功は尿素呼気法が有用とのこと。ただ、喫煙する患者の場合には除菌率も低下するようです。また胃潰瘍で緊急性を伴う出血性潰瘍の治療について内視鏡によるクリッピングなどの紹介がありました。とくにCOPD、肝硬変、慢性腎不全などで胃潰瘍の発生率が高くなることは臨床的にも重要な点と思われました。
渡邉先生の発表を聞いてみて、胃潰瘍は古くて新しい病気であるということが再認識できました。
文責 谷口