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第27回教室カンファ「肺結核について」(2012/2/8)

結核の感染過程
結核の感染過程
今回は森田先生から肺結核についてレクチャーがありました。肺結核といえばサナトリウムといった古き時代の病気というイメージがありますが、現代の日本でも1日に66人の新しい患者が発生し、6人が命を落としています。結核罹患率は減少傾向ですが、国内では未だ2万3千人以上の結核患者が発生しています。世界的に見ても、日本は依然として結核の中程度まん延国だといえます。とくに発症者が多いのは東京や大阪など大都市部に集中しています。ちなみに鳥取県の発症者は低い部類にはいります。最近の傾向として、高齢者、免疫力の低い糖尿病患者やHIV感染者に多いようです。少し驚いたのは海外から日本に来た人で20-30代の発症者が多いことです。食生活や住環境などの悪条件がこの若年世代の高い発生数と関連しているのかもしれません。結核は空気感染する感染症ですので、発病から初診(医療機関):patient lag、さらに初診から診断まで:doctor lagなど、症状がでてから診断に至るまでの時間差が大きな問題となります。風邪が長引く、抗生剤などを使ってもすっきりしない、という場合には、「結核」を鑑別診断にいれておくことが大切です。結核菌に暴露された人の40人に1人が発病すると考えられています。とくにリスクの高い、高齢者、糖尿病、肝硬変、HIV感染者、抗がん剤使用者、副腎皮質ホルモン使用者などは要注意です。診断は、喀痰塗抹・培養、PCR法、ツベルクリン反応、クオンテイーフェロンなどがあります。このうち、喀痰塗抹はZiehl-Neelsen染色や蛍光免疫染色などを用いるきわめて重要な診断材料です。クオンテイーフェロン(QFT)は患者Tリンパ球に結核菌抗原を反応させてIFN-γ産生をみるものですが、とても簡便で結核の既感染あるいは活動性結核の場合のみ陽性となります。日本人はBCG摂取受けているのでツ反陽性となりますが、クオンテイーフェロンはアッセイ用抗原が異なるためBCG摂取だけでは陽性になりません。もちろん、咳嗽・発熱・寝汗・体重減少、そして胸部レ線所見も参考にして診断することになります。結核予防法でなく感染症法では、診断後ただちに医療機関の最寄りの保健所に届け出ることが必要です。結核の診断がつけば患者には入院勧告という形で入院がすすめられます。ただ、鳥取県の結核療養病床は意外に少なく全県で26床しかありません。治療は通常は標準A法:RFP+INH+(EBまたはSM)+PZAが用いられ6ヶ月間の治療継続が必要です。途上国では抗結核薬の内服中断などで耐性菌出現が報告されていますので、治療中断させないようなサポートが重要です。
森田先生の話を聞きながら、自分の担当患者さんの中で、結核を見落としている人がいないか不安になってきました。リスクの高い患者さんではつねに結核を念頭に置いておくこと。古くて新しい感染症、結核のお話しでした。(文責 谷口)