トップページご挨拶スタッフ紹介研究成果教育目標活動報告掲載記事実習報告教室員募集リンク
情報リンク -Contents-
鳥取大学医学部 地域医療学講座
〒683-8503
鳥取県米子市西町86
鳥取大学医学部
第二中央診療棟4階
■TEL:0859-38-6660
■FAX:0859-38-6662
■E-mail:
stani@med.tottori-u.ac.jp


トップページ > 活動報告 > 江府町の味噌づくりの現場を見学して(2012/2/15)

江府町の味噌づくりの現場を見学して(2012/2/15)

味噌工場での仕込み作業
味噌工場での仕込み作業
2月15日(水)に江府町美用にある味噌工場の見学にうかがいました。地域貢献支援事業で江府町住民の四季の働き方(運動量)を評価する調査で、ある参加者が味噌工場での作業に従事されていたため、作業内容がどのようなものか興味があったので見学させてもらいました。工場はもともとJA運営でしたが、民間農業法人が譲り受けて機器を一新して江府町ブランドの味噌作り(高原みそ)をしています。標高が高く寒いため工場は雪で覆われていました。工場内も気温は4Cでしたが、作業されている方たち(10名弱)は皆さん汗だくで取り組んでおられました。
作業説明の前に、味噌というものがどうやって作られるかご存知でしょうか。じつは私も毎日味噌汁をのんでいながら味噌のことをよく知りませんでした。味噌は、大豆、米、塩から作られます。まず大豆を水につけてからしっかりと煮てミキサーで砕いてペレット状にします。米は麹カビを使ってムロで麹を準備しておきます。ペレットの大豆、米麹、大豆の煮汁そして塩をブレンドして、発酵させるための地下空間(2x2x2m)に敷き詰めていきます。この際、空気が入らないように足で踏み固めていきます。その後、600kgの重しをのせて8ヶ月間保存したら高原味噌の出来上がりというわけです。一回の仕込みで2m四方の枡をいっぱいにします。年間の仕込み量は総計7tとのこと。地元の大豆・米・水を使った味噌作りは理想的な地産地消モデルですが、やはりコストの点で厳しく、地元スーパーなどで買い上げてもらったり、少量ですがインターネット直販で都市部顧客に送ったりしているとのこと。営業がうまくいかないとせっかく作っても売れなくて処分せざる得ないようです。
さて、先ほどの味噌作りですが、大豆・米・塩からなぜ味噌ができるのか。麹カビは塩投入で死滅しますが、麹の分解酵素は残存し大豆に含まれるタンパク質、炭水化物を分解してアミノ酸やブドウ糖に変換します。また耐塩性酵母はブドウ糖からアルコールを作りよい香りのもととなる、さらに、ブドウ糖と大豆たんぱく質がメイラード反応により独特の褐色調を作りだす。地方によって材料の米を麦に変えたり、大豆でなく米だけを使った白みそもあります。中京地区で有名な八丁味噌は熟成期間を長くとった味と香りの強い味噌です。醤油や酒作りも同じですが、味噌作りには、麹カビや酵母を使った精妙な伝統の技が隠されているのです。味噌汁といえば塩分摂取の元凶であり高血圧悪化の原因のように考えていましたが、味噌は保存食として役に立ちアミノ酸なども豊富と聞くと、塩分ばかりに注目していた自分の考え方はどうなのだろうかと自問してしまいます。食文化を支えてきた味噌というものを、別の面からとらえなおすことが必要ではないかと感じました。
味噌の仕込み、重労働です!
味噌の仕込み、重労働です!
また、農業法人を運営している方に聞くと、この冬場の「味噌作り」には別の意味もあるとのこと。それは、冬場は雪深いため農作業もなく家の中に閉じこもりがちな人が多いのだが、味噌作りの仕事があることで、少ないながら雇用が生まれ、何よりも集落の人達が集まって作業し茶飲み話にも花が咲くとのこと。つまり、「味噌作り」は現金収入とコミュニケーションの場にもなっているのです。このアイデアは、冬場に運動量が少ないから皆で集まって運動しましょうという短絡的な提案よりも、ずいぶん楽しくてやる気もでるアイデアだと思います。
ところで、はじめにもどって調査目的であった作業内容はどうかといえば、味噌の仕込みは寒い中での重労働です。麹作り用の米の洗米(手作業)、大豆洗いと煮込み、大豆ペレットと塩と麹の混合(バケツ20ヶ以上)、熟成庫への味噌の踏み固め(スコップと足踏み、これが重労働)、以上の過程でバケツ1杯が15kg程度のものを移動したり持ち上げたりする作業が入ります。見学していた私は「かなり寒い」と感じましたが、作業者は仕事が終わると汗びっしょりですべて着替えないといけないとのこと。さらに驚いたことは、着用してもらっていたライフコーダー(万歩計)での運動強度はあまり高くなかったのです。よく考えれば当然ですが、重いものを運ぶ、柔らかい味噌の元を踏み固める、といった作業では腰部の上下振動は少なくカウントされません。このような作業の消費カロリーは万歩計で正確に評価することはできないのです。万歩計の計測結果だけ見て「もっと歩きなさい」という指示がいかに見当はずれであるか、おおいに反省しました。
  今回の見学を通じて、本当にさまざまなことを考えさせられました。とくに食文化や冬場の仕事作りについては、よくよく考えてみる必要があると感じました。ご協力いただいた江府町の方たちに感謝いたします。
(谷口)
麹と塩、これらを大豆ペレットと混合して、醸成庫に踏み込んでいく
麹と塩、これらを大豆ペレットと混合して、醸成庫に踏み込んでいく
完成した奥大山高原みそ、とっても美味しい!
完成した奥大山高原みそ、とっても美味しい!