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19th WONCA Asia Pacific Regional Conferenceに参加して(2012/5/24-27, Jeju island, Korea)

Jeju島でのWONCA
Jeju島でのWONCA

 今回、はじめてWONCAに参加してきました。韓国の済洲島で5/24-27に開催されました。WONCAは国際家庭医療学会ということで、どんな学会なのか興味深々でしたが、全体のメージとしてはプライマリケア連合学会に近い印象でした。テーマも、health promotion, primary careの実践、老年医学、rural medicine, educationなど多岐にわたります。とくに印象に残ったのは、educationrural medicineでした。医学生の卒前教育を扱ったシンポジウムでは、シンガポール、韓国、インドネシアなどの先生が、各地域での地域医療教育をどう進めているかの実践例を紹介していました。シンガポールのDuke大学では、研究者養成志向の強いカリキュラムの中で、うまくFamily Medicineの現場でドクター、患者に接し、臨床思考を訓練できるように工夫していました。韓国のYonse大学では、開業医の先生に協力してもらい、同じクリニックに週1回、年間で48回通い続けるという実習をしていました。おもしろかったのは、協力してくれる先生の特徴として「男、若い、学生の面談スペースがある」などの要素が抽出されていた点です。スペースのことは鳥大の院外実習でも同じことがいえるように感じました。Rural medicineでは、マレーシア、インド、タイ、インドネシア、オーストラリア、遠くはアフリカ南部のスワンジ共和国などから発表がありました。発展途上国では、乳児死亡率の高さ、衛生状態とくに清潔な水の確保が難しく感染症に苦しんでいること、一方で肥満や慢性疾患も増えつつあり健康教育も手が及ばないなどの報告がありました。インドからは医者の足りない郡部で研修するプログラムを作り家庭医を育てる試みが紹介されました。日本とは比較にならないくらい医療環境が悪い中で、突破口を開こうとして努力されているスタッフには本当に頭が下がります。私は、このような途上国の工夫からも学べることがたくさんあるのではないかと感じました。
 また、最初のシンポジストの
Drは米国でも有名な家庭医療医ですが、前立腺がんで亡くなった自分の患者さんの話が印象的でした。「亡くなる前に田舎の自分で切り開いた牧草地の丘に登ってみたい」という希望をきき、奥さんを支援してその望みをかなえた上で、患者はその2日後に亡くなったそうです。葬式で、丘の上に立つ患者さん本人の写真がイーゼルにかかげてあるのをみて、彼はとても嬉しく誇りに思ったとのこと。Oncologyの専門医から「You don’t know cancer」と非難されても、彼は胸をはって「I know cancer」と答えるそうです。Cancerではなく「Cancerを抱えた患者に向き合うこと」、まさに家庭医療医とはかくあるべし、という気概を感じました。

 最後の夜にはバンケットが開催され多くの人が参加しました。韓国の研修医が出し物を披露したり、2年後の開催地であるマレーシアのドクターが飛び入りで歌をうたったり、とても楽しいパーテイーでした。いわゆる、専門フィールドの学会と違い、権威主義的な空気は乏しく、みんなで医療を良くしよう、医療のことを考えて率直に話しあおうという雰囲気が満ちており、本当に気持ちのよいカンファレンスだなと感じました。来年はチェコスロバキアのプラハで世界家庭医療学会が開催されるとのこと。私たちもがんばって演題を出して、世界の家庭医療というものに、もっともっと接してみたいと思います。(谷口)

ICC JEJUの会場にて
ICC JEJUの会場にて
展示ブースの数に圧倒(WONCA 2012 Jeju)
展示ブースの数に圧倒(WONCA 2012 Jeju)
WONCA Asia Pacific Regional Conference会場にお邪魔して感じましたのは,熱気と展示ブースの多さでした.各国における家庭医療とその教育のみならず,広い分野における研究発表も学会が強く推進しているため,協賛企業の支援が得られやすいのかもしれません.一方,私が所属するサブスペシャリティ学会は,専門医制度の整備が進む一方で,研究ならびに教育面では暗中模索の状態にあるように思われます. WONCAへの参加を通じて,これらの学会は多職種の参加は無論のこと,家庭医(あるいは総合医)のアイディアを数多く取り入れるべきではないかと考えられました.
高血圧診療あるいは循環器疾患の予防医療を行う機会は家庭医の方が多く,そこから選抜された患者さんを専門医が担当するため,専門医からみた疾患像と家庭医からのとは異なる可能性があります.そこで,病院内では気づかない新たなclinical pearlを検証する動きを活発にすることが,新たな研究テーマを生む原動力になると思われます.また,教育面でも,患者教育,コミュニティ医療,時間軸(長期的視野)の見地を含めて広く研鑽を重ねるには,病院を離れて実施する機会が不可欠と考えられます.さらに, “clinical audit”の手法(教室カンファレンスの項で紹介)により各学会主導で作成された診療ガイドラインの検証も可能になります.
 日本では家庭医と総合医を統合する動きと病院総合医がプライマリケア連合学会から独立した経緯があり,WONCAの方向性とは異なる印象がございます.もしかしたら,家庭医からサブスペシャリティ専門医に,あるいは専門医から総合医に示唆を与えることが,日本ならではの家庭医・総合医像のあり方を見出す早道かもしれません.今年参加するサブスペシャリティ学会において,自分はどのように貢献できるかを強く意識して参りたいと考えております.
(浜田)
内視鏡デモにて、自ら実演する
内視鏡デモにて、自ら実演する

韓国の済州島で開催されたWONCA Jeju 2012に参加しました。 移動に時間がかかり、実質の参加は526()の一日のみでした。

午前中は、心血管疾患の一次予防に関するシンポジウム、ランチョンは糖尿病のDPP-4阻害薬に関する発表を聞き、午後は内視鏡のワークショップに参加しました。

どれも先端治療の話題ではなく、予防や内服加療、内視鏡など自分が普段から関わっている分野の内容なので、英語の発表も聞き取りやすかったです。

内視鏡に関しては、韓国では主に専門医が行うので家庭医はそれほど内視鏡に触れる機会がないようです。今回のワークショップでも病変の観察や診断に関する話題ではなく、胃と大腸の解剖や、内視鏡の構造と操作方法に続いて、挿入のテクニックについての講演後、実際に内視鏡に触れて上部消化管モデルに挿入・観察するといった内容でした。

私も、初期研修医の時以来10年ぶりくらいで消化管モデルでの内視鏡をさせていただきました。

夜の懇親会は、結婚披露宴のような大会場で、コース料理にジャズや民族音楽の生演奏など、豪華な内容でした。自治医大の大先輩で、現在は帝京大学地域医療学の井上和男教授とお隣の席に座ることができ、地域医療や臨床研究、英語論文についての熱いお話を伺うにつれて自分もやってみたいと思うようになりました。

初めて国際学会へ参加し、海外における家庭医の活躍を直接聞くことができたのは大きな収穫でした。

自分の経歴や立場、家庭医療に関する思いなどを英語で表現することの難しさを実感し、いつでも人に説明できるように自分の考えを整理しておくことが大切だと思いました。

渡辺ありさ