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鳥取大学医学部 地域医療学講座
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基礎配属の学生たちと隠岐訪問(2012/7/3-5)

ホテルから見た別府港周辺
ホテルから見た別府港周辺

73()5()に、基礎配属の3年生6名を連れて、島根県の隠岐諸島で地域医療実習をさせていただきました。

<日程>

73() 午前 :フェリーで島前 西ノ島へ移動

      午後 :島前病院を見学(白石先生のお話、テレビ会議システムを用いた島根大学皮膚科へのコンサルトなど)

      夜  :フェリーで島後に移動して懇親会

74() 午前~:それぞれの指導医について実習(産科、内科、外科、救急、診療所など)

      夕方 :加藤先生のお話

      夜  :加藤先生の救急当直、分娩介助シミュレーター・新生児救急蘇生訓練など

75() 午前 :指導医の元で実習

      午後 :フェリーで移動、解散

 特別養成枠として卒業後は地域医療に従事する彼らを、基礎配属として当講座に迎えるにあたり、地域医療に対して学生が抱きがちな辛いイメージを払拭したい、将来一緒に働くであろう自治医大生に対して親しみを持って欲しいという願いがありました。

 そこで自治医大の水泳部時代にお世話になり、義務年限の終了後も隠岐病院で産婦人科を続ける 加藤一朗先生に実習をお願いしたところ、快く引き受けていただき、同じく自治医大卒業生の白石先生のご厚意で島前病院も見学させていただけることになりました。

 加藤先生と島前病院長の白石先生に共通するのは、専門科に限らず幅広い医療に精通してフットワークが軽いことと、家族を大切にして、海に囲まれた島での生活を心底楽しんでいらっしゃるところです。釣りに魚突きにシュノーケリング、カヌーに相撲にトライアスロンなどなど、充実したプライベートのお話にも圧倒されました。

 今年の5月に移転したばかりの隠岐病院は、新しくてきれいな病院です。院内のあちこちにボランティアの方がいて、患者さんを案内したり手を貸したりする姿も印象的でした。

 隠岐では、医師も住民も孤立しないようにブロック制度を導入しています。共通の電子カルテを用いて、病院の医師が定期的に診療所へ派遣されたり、診療所の医師が病院でも勤務することによって、より多くの目で地域を診ることができる上に、診療所と病院の連携も深まります。普段から複数の医師が診療にあたっているので、お互いの不在時にも無理なくカバーし合えるメリットもあります。

 離島ならではの苦労としては、悪天候時に本土へ救急搬送する手段が限られていることと、本土での三次救急医療を要するケースでも様々な事情により誰もが島を出られるわけではなくて、島内での加療を続けざるを得ない場合もあるということです。島前病院では、島根大学の皮膚科とテレビ会議システムで定期的に症例のコンサルトを行っていて、患者さんが島から出ることなく専門的な加療を受けられることを知りました。

 隠岐諸島では平成18年に、島内でお産ができなくなるという危機に見舞われました。加藤先生をはじめ多くの人々の尽力でその危機を乗り越えて、現在も毎年100人以上の子どもが隠岐で生まれています。

 先生方のお話を聞きながら、目の前で学生たちの地域医療や離島医療に対する概念がみるみる変わっていくのがわかり、今回の実習は大成功だと確信しました。加藤先生の救急当直を見学したい学生を募ったところ、6名全員が希望して夕食後に交代で病院に行き、シミュレーション教育までしていただきました。加藤先生のご厚意も学生の積極性も本当に嬉しい限りです。

 これまでは自分が地域医療の現場で学生実習を受け入れる側の立場であり、自分にできる指導を精一杯してきましたが、昨年度からは自分で実習を計画したりコーディネートする立場に変わりました。実習を受け入れた経験が非常に役立つとともに、様々な病院を学生と同じ目線で見せていただくことで、また地域医療に対する新たな発見があり、自分の勉強にもなっています。

 23日という短い期間でしたが、離島の医療と生活を拝見して大変勉強になったとともに、私自身もまた地域医療の現場に戻って働きたいという思いが強くなりました。地域医療は大変な面もありますが楽しい面もあり、若いうちから責任感とやりがいをもって働ける仕事でもあります。

 私は島根で働いたことがありませんが、島前・島後で働く先生方も学生時代の知り合いだったり共通の知人がいたりなど話題にも事欠かず、日本中の地域で人が繋がっているのだということも再確認し、改めて母校に感謝した次第です。

 最後になりましたが、白石先生、加藤先生をはじめ、島前病院と隠岐病院の皆様、貴重な実習をさせていただき本当にありがとうございました。                                             

(渡邉ありさ)

5月に新設された新隠岐病院とボランティア
5月に新設された新隠岐病院とボランティア
<学生たちの感想より>
 
・島の方々は非常に温かく、思わず永住したいと思ったほど。固定観念を排する大切さを改めて感じさせられた。
 今回の隠岐地域医療実習では沢山の先生方にお世話になり、数多くの事を学ばせていただいた。
 正直、総合医と聞くと、今までは、所詮専門分野がほぼないような、足が地についていない医師というイメージがあったが、今回の実習を通し、その概念が瞬く間に崩れ去った。麻酔をし、帝王切開の執刀をし、夜間救急も行う加藤先生の姿は、まさに今日本が求めている医師像だと直感的に悟るに至るほどだった。

・「だれか医者はいませんか」と言われたときに5割の医者が名乗り出ないという話も印象的で、白石先生の言われていたように「名乗り出ないような医者に本当になりたかったのか」ということを常に自分に問いかけ、初心を忘れずにいたい。
自分の専門に固執して患者に対し壁をつくるのではなく、自分の働く地域のニーズに合わせて自分の能力を磨き、多くの患者に貢献できる医師になりたい。
これまでどんな医師になるのか、どんなところで働くのかなどのイメージや希望が全く持てていなかったが前回の自治医科大学や今回の隠岐での体験で少しずつそれらの方向性が見えてきたように思う。今後も積極的に色々な体験をしていき、地域医療に対するモチベーションを上げていきたい。

・島前病院は総合医複数制によるアンパンマン型チーム医療だ、という白石先生のお話が興味深かった。アンパンマン型の反対はウルトラマン型であり、一人のスーパードクターがその地域の医療を支えるもので、その人いくら頑張っても、いなくなってしまったら、また次のスーパードクターを待つしかない。ある意味、自己満足の世界で終わってしまう。しかし、アンパンマン型のチーム医療は、自分がいずれいなくなることも考えながら、後輩を育てるし、仲間がいるから、お互いに知識や刺激を与え合い、支えあうことができる。継続可能なシステムやつながりをつくることが地域医療では大切なのだということが分かった。

・印象に残ったのは、白石先生も加藤先生も、家族を大事にし、自分の生活を楽しんでおられるということでした。今まで離島医療というと、他に助けもなく、医師が孤独に奮闘する、辛いものというイメージがありました。お2人の、何ができないかではなくそこで何ができるか、辛いから一歩踏み出して幸せに、という言葉はとても説得力がありました。将来は離島とはいかなくても、地域に入って医療することになるので、できることは何でもする気持ちで、その場に自らを柔軟に変化させ、その環境を楽しめるようになりたいです。

・今回の実習を通して一番印象的だったのは,島で医療に従事している先生方は離島での医療を特別なことだと感じておられず,むしろ「離島医療」と枠組みされていることに違和感を感じていることだった.その土地の特性で独特の問題点があることは世界中どこでも同じことで,それを敬遠することは筋違いなのではないかとどの先生も口を揃えておっしゃっていた.私も本当にその通りだと思う.場所にこだわらず医療に貢献できる医師を目指して,これからも大学生活を充実したものにしたい.

帝王切開を初めて見たときには、誕生した赤ちゃんの産声を聞いた瞬間に思わず涙がでた。同時に「島でお産ができなくなった」という状況がどういうものであったのかを考えさせられ、この元気な産声を守るために立ち上がられた加藤先生の、勇気や努力を思い、感極まってしまった。
今回強く感じたのは、自分はこのままではいけない、という事だ。もっと積極的に地域で活躍されている先生を知り、情熱を持ち、日々一生懸命勉強し、将来役にたてる医師にならなくてはならない。自分から積極的に情報を収集して刺激を受けたり、今回自分が学んだ事を同級生などに発信していく事は、隠岐病院で学ばせていただいた私たちの責務であると感じた。医師という仕事のすばらしさ、楽しさ、そしおもしろさ・・・そんなものを見て聞いて体験して、全身で感じさせていただいた3日間であった。
隠岐病院の正面玄関で加藤一朗先生と
隠岐病院の正面玄関で加藤一朗先生と