トップページご挨拶スタッフ紹介研究成果教育目標活動報告掲載記事実習報告教室員募集リンク
情報リンク -Contents-
鳥取大学医学部 地域医療学講座
〒683-8503
鳥取県米子市西町86
鳥取大学医学部
第二中央診療棟4階
■TEL:0859-38-6660
■FAX:0859-38-6662
■E-mail:
stani@med.tottori-u.ac.jp


トップページ > 活動報告 > 「地域医療フォーラム2012」に参加して(2012/9/16)

「地域医療フォーラム2012」に参加して(2012/9/16)

開会宣言される梶井英治先生(自治医科大学地域医療学センター長)
開会宣言される梶井英治先生(自治医科大学地域医療学センター長)
渡邉ありさ:
9
16日(日)に秋葉原で開催された「地域医療フォーラム2012」に初めて参加しました。
これからの地域医療を形作るために、過去の4つの自治体での成功例を皆で分析してまとめ、各地域で活かすためにはどうしたらよいかを考える会でした。
渡辺からは主に、第3分科会の活動についてご報告します。
4つの分科会ーー広島県、福井県高浜町、岐阜県郡上市、千葉県柏市ーーに分かれる際に、私は第3分科会の岐阜県郡上市を選びました。
もう13年も前になりますが、自治医大5年生の時の地域医療実習で、郡上市の旧和良村で2週間お世話になった経験があり、その時に大変感銘を受けたからです。話が逸れますが、疫学や公衆衛生(現場の臨床医には縁遠い、県や国の偉い先生方が分析に用いるためのものと思っていました)が地域医療の現場で目の前の患者の診断・治療において非常に重要であることを教わり、地域の病院で毎日の外来レビューと毎週の抄読会を行って日々情報をアップデートしたり共有する姿に驚きました。
旧和良村での歴史と経験(まめなかな和良21プラン、健診の重要性を住民もすでに認知、2000年に市区町村別の男性平均寿命日本一の実績)を活かし、合併後の郡上市では和良病院の後藤忠雄先生を総合アドバイザーに据えて郡上市地域医療センターを設置。病院と診療所で機能を分化させ巡回型の診療を行いました。疾患の治療よりも予防に重きがおかれるようになり、現在も高い健診受診率を誇ります。
住民主体の市民フォーラムの開催、高校生も参加する「へき地医療研修会」、子どもたちの意見を取り入れて保育園と小中学校と公民館を敷地内禁煙化するなどの試みも注目すべきことです。住民の健康を医療と行政に丸投げするのではなくて、住民自らも考えて参加して作っていくものという姿勢はとても重要ですが、それを実際に行えている自治体はほとんど無いのではないでしょうか。
最後の全体会では、各分科会からの発表や意見交換を聞きながら、参加者の目の前で神田健史先生が「鍵」のスライドを完成させていきます。皆で話し合ったことが、こうして全体指針として目の前で形になっていく様は、自分も参加しているのだという自覚に繋がるように思いました。
梶井英治教授をはじめ、素晴らしいフォーラムを企画運営された自治医大地域医療学センターの先生方、大変だったと思いますが本当にありがとうございました。
フォーラムの懇親会と、その後の自治医大の先生方との二次会・三次会に参加して、いろいろお話しできたことも非常に心に残りました。
学生時代をともに過ごした同窓生で、現在は学生教育や地域医療に関わっている人々の頑張りを聞いては勇気づけられ、相談に乗ってもらうことで自分の迷いも解消されていくように思います。
今回のような貴重な機会を活かし、自分のモチベーションを上げて鳥取での医療と教育にも還元していきたいです。
グループワークでは各自の意見をまとめて発表
グループワークでは各自の意見をまとめて発表
浜田:
「地域医療フォーラム」(平成24年9月16日、東京秋葉原)にはじめて参加いたしました。昨年は地域医療のためになすべきことについて提言をまとめ、そこに今年は具体的に誰がどのように実践すべきかに関するグループワークによって出された意見を加えていく作業が中心でした。
 私は、高齢化が急速に進んでいる千葉県の柏市における在宅医療推進プログラム(柏モデル)の分科会に参加しました。総合医を育成するだけで人材不足は解消できず、専門医が在宅医療・多職種連携に容易に参画できる研修プログラムを普及させるのが急務であるという主張に対して、各地域の高齢化対策としてこの柏モデルを展開するために必要なことがグループワークの議題でした。参加者からは、地域の医師会長(≒地域の院長)と行政の長のやる気、住民の意識変容、各業種の情報交換の場、在宅医療を一部施設の一存で押し進める前に地域のニーズを掘り起こす地道な作業によって実効可能な政策をうつこと(bottom up & top down)、さらに社会的ニーズと住民個々のwantsとを区別すること、などの意見が出されました。司会役をお受けしたときテーマが広大でまとめづらいと思われましたが、意見を集約してみますとほとんどの参加者が同じ方向を向いていることがわかり、発表者にわかりやすく統括いただくことができました。
 クロージングでは、自治医科大学長永井良三先生が総括を述べられました。医学部・附属病院を取り巻く環境ならびに医学教育、専門医制度などが大きな曲がり角にある「時代の揺れ」(わずか10年)の中で、今まで学生・若手医師に「柔軟な考え方」を教えてこなかったことが問題であり、「○○医が~すべきだ」という相互批判ではなく、インプットもアウトプットも複雑系である地域医療の問題をデータ化して検証して解決に向かう研究手法と持続可能性(sustainability)の必要性を強調されました。
(浜田)
全体討議の後挨拶する永井良三先生(地域で医療人を育成し循環する社会を)
全体討議の後挨拶する永井良三先生(地域で医療人を育成し循環する社会を)
谷口:
地域医療フォーラムでは、分科会4の「都市部での地域医療」に参加した。東京大学高齢社会総合研究機構の辻哲夫先生の提案されているポイントとして、
1.あと10-15年で都市部近郊では高齢者が著しく増加し恐ろしい事態がおこる
2.医療介護で対応するには総合医育成では間に合わず、今いる医師会員を在宅医療のできる医者になってもらわないといけない
3.千葉県柏市で、短期間で医師が行動変容できる教育プログラムを開発した
4.これを全国に発信し地方都市も含めて、一丸となって高齢化社会へ備える必要がある.

近未来を展望し具体的な備えのシステムを作る、さらにそれが継続して回転する仕組みを作る、辻先生は「自分は医師ではなく行政技術者」と説明されていたが、このような先進的な研究は本当に価値があると感じた。ただ、その後のグループワークのなかで、さまざまな地域の現実的な障壁があることもわかってきた(ex.田舎では都市部と違いグループ在宅診療体制を作りにくい、患者の住まいがばらばらで膨大な時間がかかる、開業医はインセンテイブがないと動かないなど)。いずれにせよ、この取り組みは火急の課題であり、鳥取県でも医療従事者のなかでしっかり議論する場が必要だと思った。幸い、鳥取県西部地区では野坂医師会長の意思で在宅医療推進委員会が組織され、病院関係者、医師会、行政が話し合う土俵ができつつある。また、フォーラムの最後に、新しい自治医大学長の永井良三先生が、歴史的にみると専門医と総合医の対立軸は最近できたものであまり意味がないこと、地域医療もエビデンスをだせる研究が必要であること、地域医療は複雑系なので局所をとりだして議論しても仕方ないことなど、をコメントされ、なるほどなあと感心させられた。地域医療は、歴史的にも社会的にも広い視野で展望することが肝心であると再確認できたフォーラムであった。(谷口)
分科会4の成果発表(柏モデルについて)
分科会4の成果発表(柏モデルについて)