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「第7回中四国地域医療フォーラム」に参加・発表(2017/2/24-25、徳島)【2】

第7回中四国地域医療フォーラム 参加報告
鳥取県西部家庭医専門研修プログラム専攻医 紙本美菜子

日時:平成29225日(土)9:0015:00

会場:ホテルクレメント徳島

主催者:徳島大学 総合診療医学分野


今回のテーマは、「地域医療・総合診療に情熱を持つ医師の育成に向けた、卒前~卒後のシームレスな教育・支援体制について」であった。

前半は、各大学から「地域医療に貢献する医師確保に向けて」というテーマで事例紹介および活動報告があり、各大学の地域医療関連のカリキュラムや、地域枠学生への卒前教育において、地域医療への興味やモチベーションをどう持たせるかといった工夫や問題点が発表された。

私がとくに印象的だったのは島根大学の発表で、地域医療支援センターが一般社団法人として設立されており、自治体や附属病院診療科など学内外との連携体制が強化されているのが特徴的であり、県が大学の一機関に地域医療支援センターを委託運営している場合に比べ、自治体や医師会など実質的にかかわっている意思決定機関の種類が幅広く設定されており、まさに「オールしまね」で取り組む意識の違いを感じた。

卒後教育については、卒後臨床研修センターや地域医療支援センターなどと協力体制をとり初期研修医をはじめとする地域医療を担う医師のキャリア支援を行っている大学がある一方で、卒後まったく関わりのない大学もあった。新専門医制度を見据えた卒後のキャリア形成支援についてはどの大学も意識されているようであったが、現状では在籍する地域枠卒業医師の卒後支援体制の実際は大学ごとでかなり差があるように感じた。

後半は、小グループごとに分かれ、地域枠や地域医療を志す学生、また私のように地域医療・家庭医を志す医師たちがそれぞれのグループ内で教育者側からインタビューをうけるという形式でのワークショップが行われた。具体的には、(1)地域枠・地域医療を目指した動機(2)これまでうけた教育の中で地域医療を志しモチベーションを保つのに有効であると感じた取り組み(3)情熱を持ち続けるのに有効であると思うキーワードについて聞かれ、その答えについてグループごとに発表を行った。自分のグループでは高知大1年の地域枠学生、徳島大5年地域枠学生がいた。高知大1年の彼の志望理由はまず「地域枠なら入りやすいと思ったので」、それから生まれ育った地の医療に関わる気持ちがあるとのことであった。1年生らしくまだ地域枠の制度自体も理解していない様子であったが、このフォーラムに参加して自分がどのような立場で今後学んでいくべきかがわかりよかったとの発言があった。徳島大5年生の彼女は、3年生のときの研究室配属で「せっかく地域枠で入ったのだから地域医療学で学んでみよう」との意識から総合診療分野を希望し、講座の谷教授の誘いもあり学生スタッフに加わった。教授との出会いがなければ今頃「何科になろうかな」などと考えていたと思うとの発言があり、同講座内での谷教授の存在感の大きさを感じた。学生生活の中で「義務」とか「地域枠なら地元に残るんでしょ」などと声をかけられると、自分がそのつもりでも少し反発を感じるとの地域枠ならではの率直な思いを語ってくれた。
【人とのつながり(縦・横)】

地域枠同士、近い境遇となる自治医大生との横のつながりや、先輩・後輩などの縦のつながり。医学部内で一般枠と同じ環境にあると現状マイノリティとなってしまう地域枠学生だが、定期的に集まり交流する場を設けることで地域医療へのモチベーションを保つ効果はありそうだ。地域枠学生からは「同じ枠の先輩がどういった進路をあゆんでいるかわからない」という意見があり、縦のつながりがゼロに等しく将来のイメージがしづらい環境に置かれていることは自治医大の県人会システムとの大きな違いだと思った。

自治医大卒業の自分の意見としては、やはり各県の地域枠学生の地域医療に対する理解度や意欲には関心があるところであり、県を通じて将来同僚となるメンバーとの交流は継続して行われることが望ましい。これは決して地域枠学生のためだけではなく地域勤務で孤独感を味わいキャリアに悩むことの多い自治医大卒業生医師が、義務年限終了後も地域に定着するかどうかも含めたモチベーション維持の面からしても有効な取り組みであると思う。

【早期暴露、Early Exposureであること】

早期体験実習(医療、福祉、介護現場を1-2年生で体験する)で将来をイメージしやすくなる。また長期休暇ごとに行われるセミナーや医療施設見学。さらに早期では、医学部進学を目指す高校生を集めて地域の医療施設の視察ツアーを組み医師確保対策にあたるという県もあった。ほとんどの大学が1-2年次に早期体験の場を設けており、実際に経験した学生からも良好な反応が得られており、効果的な取り組みであると感じた。課題としては、2-3年生の臨床実習が行われるまでの時期に地域医療・総合診療を意識させる場が少なくモチベーション維持が困難となりやすい点が考えられた。県の医師確保対策や大学と協働した取り組みとして長期休暇時などの病院見学、セミナーがあげられたが、地域枠学生全員に参加を強制すると、意欲的でない学生は反発心から意識が離れていく逆効果もあるといった意見から、何種類かの機会のうち選択制にすることで学生の自由度を担保し反発心を軽減しているという県の案があり参考になると思った。

【キーパーソン、ロールモデル、メンターといった人物の存在】

そもそも目標としているロールモデルがいるかどうか、悩んだ時に相談できる、ふと頭に浮かんでくる師の存在があるかどうかは、やはり重要である。今回フォーラムの中で、徳島大の谷教授や高知大の阿波谷教授などはそのような存在なのかなと感じた。また、山口大学の黒川教授はみずからがよろず相談所を開設し、卒後進路やハラスメントなどまで多岐にわたり相談にのっているという。自身も地域医療を志すにあたっては地元の診療所のドクターの存在があったし、妊娠出産については先輩女性医師へ相談させてもらい自分の進路を決めてこられたと思う。

卒前から卒後にかけて、同じ教員がフォローできる体制が最も望ましいかもしれないが、制度上難しい場合もある。しかし、常に間口を広く開けてどんな思いも傾聴し受け入れる、そんな総合診療・家庭医療的スキルと包容力があれば、後に続くメンバーも増えるのではないか、本学はその発展段階にあるのではないかと感じた。